2017年6月20日、帝国データバンクの倒産速報記事にて、岐阜県にある総合病院「医療法人社団誠広会」が負債87億円を抱え岐阜地裁に民事再生法適用を申請しました。
医療機関倒産のニュースが珍しくなくなってきた今日において、病院運営における今後の展望と経営者が持つべき視点について、私なりの考えを述べてみます。
▼ 目次
医療機関の倒産は今後も続くのか?変化が必須

経営ポリシーを貫くだけでは危険

変化ッ!変化ッ!
「58」この数値は2014年1月から2016年1月の間に減少した全国の病院数です。
全国的に病院の統廃合が進められる昨今において、単純に58病院が事業を停止したということではありませんが、
従来とは異なる形に自院のスタイルを変化させざるを得ない状況になったであろうことは想像に難くありません。
病院経営者及び医療関係者にとっても、その地域に根差し、多くの患者の生命を救い、守ってきた病院が時代の流れとともに淘汰されてしまうという現実を決して他人事としていけません。
これからの病院経営には、自院の持っている医療機能を見極めた上で、時代の変化の波に対応していける高い柔軟性が求められています。
病院倒産は医療難民を生み出すわけではない
医療機関が倒産した場合、その地域に住む住民はどのような影響を受けるのでしょうか?
まず、その病院を「かかりつけ病院」としていた患者の場合、新たな受診先を見つけなければなりません。
その患者が自分で移動出来る患者であれば、多少の手間はあったにせよ、医療を受ける機会が失われた訳ではありません。
しかし、家族や第三者の協力を得て受診している患者の場合、影響度は大きなものとなります。
- 受診先の変更に伴い、家族や第三者の協力が以前同様受けられるか
- 受診先の変更に伴う移動コストを許容出来るか
- 在宅医療、介護等の在宅系サービスに切り替える
この3点をクリア出来る患者については特に問題なく継続的な医療を受けることが出来ますが、いずれかの障害をクリア出来ない場合にはさらに選択が求められます。
それは、「継続的な医療サービスが受けられる地域へと居住を移す」という選択です。
このように、「医療」という社会インフラの1つが失われた場合、医療を受ける側である我々は環境の変化に適応すべく、抽出された選択肢の中から自身に合ったものを選択する自由を持っています。
よって、地域の医療機関の1つが失われたからといって医療難民が続出するということにはなりません。
倒産後の医師の流れと、医療提供体制の変化
1つの病院がその歴史を終えた後、そこで働いていた
- 医師
- 看護師
- 医療技術者
等は、どのような道を辿るかを想像したことがありますか?
ある日突然病院が倒産する訳ではありませんが、病院の経営状態や職員への待遇等の変化が見られた時点で、職員は徐々に離職・転職へと動き出すのが通常です。

新しい仕事先を探さなきゃ・・・
自院にとってみれば、医療を継続的に提供できる体制が維持できなくなった場合、その存続は困難なものとなり、事業停止を余儀なくされます。
では、離職・転職していった医師・スタッフについてはどうでしょう?
病院は多くの国家資格を持つ専門職の集まりです。
結局のところ、多くのスタッフは自身の資格・技術に合った別の医療機関へと身を移すことになります。
ここで1つの現象が起こります。
病院が1つ倒産すると、近隣地域の他病院のスタッフ数が増えるということです。
その結果、近隣地域の医療提供体制は強化されることとなり、病院倒産による患者増を許容できるようになります。
日本は病院数・病床数が多いが医師の数が少ない
日本全国の病院数は約8,440あります。
OECDの統計データを用いて日本と他国の医療提供体制を比較してみると、
日本は、人口百万人当りの病院数、病床数が突出して多く(アメリカ、カナダの2倍以上)、人口千人当たりの医師数が少ないという傾向があります。
看護師や薬剤師数はほぼ同程度であることを踏まえて、次の仮説を立ててみました。
「日本の病院数が半分に減少しても、残りの半分に医師が集約されれば、1医療施設当りの医師数・スタッフ数が増えて医療提供体制は守られるのではないか」
です。
病院事業は労働集約型の事業であり、常に人材確保という課題を抱えています。
全国的に不足している
- 医師
- 看護師
- 介護福祉士
を始めとして、多くの医療機関が自院の機能強化・拡大に向けて人材確保に難渋していますが、視野を世界に向けてみると、日本はそもそも病院の数が多すぎるんです。
沢山の病院が少ないパイに対しアプローチをかけています。
ある病院は給与に、福利厚生に差をつけ、ある病院は高い専門性を売りに人材確保に努めています。
人材確保に敗れた病院は徐々に淘汰されていく流れになっています。
まとめ
「種の起源」を記したチャールズ・ダーウィンはこう言っています。
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは変化できる者である。」
病院経営に携わる者の喫緊の課題は、超高齢化社会、2025年問題をどう乗り切るかの選択を迫られているということです。
高齢化及び少子化の影響を受け、医療業界のみならず多方面において人材確保は重要なファクターとなっています。
自院の築いてきた歴史も大切ですが、その地域の人口構造や疾患特性を見据え、「変化の波」を捉えた上で、医療機能転換を図るのは今からでも遅くないと感じています。
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