2013年6月に大阪府で起きた

「分娩前の妊婦が病院でバランスボールから転倒し、子宮破裂を起こし、子どもに脳性麻痺が残って死亡したという事件」

について、夫婦はこれが病院側の責任として訴えを起こしている。

2018年10月25日にニュースでも話題になっており、一般の人からのコメントでは

  • 「妊婦をバランスボールに乗せるなんてあり得ない」
  • 「医師の責任以外の何でもない」
  • 「ヒドイ」

などの医療者を批判するコメントが多かった。

知識がない人や、とりあえず何も考えずに正義感ぶりたい人は上記のようなことを言うかもしれない。

しかし、これは果たして病院側の責任なのであろうか?

私個人が言いたいことの結論を書くと

何でも病院側の責任にしていたら同じ悲劇が起きるので、自分自身の責任も考えましょう

というものになります。

その辺について詳しく書いていく。

分娩前のバランスボールで転倒

陣痛中にバランスボールに乗せたのは悪ではない

訴えている夫妻は、

「使ったこともないバランスボールに無理やり乗せられた」
「陣痛の痛みや腕の点滴のせいでバランスを崩した」

と話している。

「陣痛中にバランスボールに乗せるなんて危ない」

という一般の人の意見も多いが、陣痛中にバランスボールを使用することはよくあることである。

陣痛中に胎児の回旋がうまくいっていない場合、出産まで長くかかることが多く、途中で胎児にダメージが起こる可能性も少なくない。

そのためバランスボールに覆いかぶさるような体勢にすることで、回旋を戻すことがある。

また、陣痛の緩和にもバランスボールを用いることがある。

こういった知識が少しでもあれば、医療者側は意味もなくバランスボールを使用したわけではないという事が分かる。

妻本人は破水をして入院していたため、できるだけ分娩を早めた方が良いという医師の判断だったのだろうと考えられる。

また、陣痛促進剤を使用していた場合は、それによっても子宮破裂のリスクが上がる。

転倒した原因は医師だけではなく、看護師や、妻本人・夫にもある

看護師や助産師の説明は十分だったか

バランスボールの使用を指示したのは医師であるが、おそらく、その介助や観察をしているのは「看護師」や「助産師」であるだろう。

バランスボールは床ではなくベッドの上に置かれており、それによる転倒のリスクを考えられなかった看護師や助産師には責任があると思う。

夫妻は「介助の看護師もいなかった」と話しているが、実際の病院の現場で陣痛中に1秒も離れずにずっと付き添いし、介助をするのは現実的には不可能である。

他の入院患者もいれば、他にも分娩中の人がいることも多い。

ただ、その場を離れる時に、転倒に注意するように本人や家族へ説明できていたかは重要な問題だ。

看護師や助産師は患者の危険をある程度予測し、回避できるようケアすることも仕事のひとつである。

夫やご家族は

ここで私が疑問に思う点は、夫をはじめとした家族は何をしていたのかという点である。

陣痛中は夫が近くに寄り添い、腰をさするなど介助をすることが多い。

妻のすぐ近くに夫がいれば、バランスボールで不安定になっても支えるなどの介助ができたのではないだろうか。

また、転倒前にも危険だと思えば、それを医療者に伝えることもできたのではないだろうか。

繰り返すが、分娩前にバランスボールを使用することは一般的なことである。

そのため、使ったことがなくても使い方はほとんどの人が分かるのではないだろうか。

クリニックの母親教室などにも参加していれば、バランスボールを使った陣痛緩和の方法などは説明がある。

私は、医療者側だけでなく本人と夫の責任も問いたい。

その後の対応には問題はないのか

①医師はすぐに緊急帝王切開を行った

医師は、転倒後すぐに緊急帝王切開を行い、男児を取り出している。

子宮が破裂した後は時間の経過とともに胎児も母親も容体が悪化していくため、転倒してから異常の発見、緊急帝王切開までかかった時間も男児の後遺症に影響があると考えられる。

②出生後蘇生

男児が出生した後の蘇生や、その後の管理も男児の予後に影響を与える。

そのあたりはニュースには出ていないが、今後重要となってくる問題である。

③ガーゼの置き忘れ

ガーゼの置き忘れも指摘されており、一般の人からするとあり得ないと感じるかもしれないが、これは産科クリニックではある程度仕方のない事ともされている。

母体や胎児の状態が悪い場合、救命のため真っ先に帝王切開を行う。

その後は、新生児の蘇生と母体の子宮の手術を同時進行でしなければならない。

出血が多い場合はガーゼも何百枚も使用することもある。

人手の少ないクリニックではガーゼカウントが終わるのを待つ時間がないため、とりあえず一旦手術を終了して新生児の蘇生にあたるという事は場合によってはあり得る。

翌日にガーゼを除去する再手術を受けているため、今回もそのような事情であると考えられる。

少ない人員と設備の中で病院側が出した苦肉の策ということであろう。

だが、夫妻にはその対応が病院側に誠意がないように映っているのは間違いない。

しかし、

医師側に何の落ち度もなかった可能性

ただ医師側を批判するだけではなく、医師側がその場でできる最善を尽くして最良の判断をしていた可能性を忘れてはいけない。

その可能性を無視するならば、あなたはただ大多数に振り回されるだけのイジメっ子グループの一人だ。

もしもあなたが何かの案件で、これ以上はできないというほど最善を尽くして頑張ったのに、それについてボロクソ叩かれたらどうだろうか?

「大人の社会は結果が全てなので努力の過程なんぞ1ミリも関係ない」

という価値観を私は嫌いではないし、実際そうだとも思うが、できうる限りの全てを尽くたとしても、どうにもならない事態というのは存在する。

あるいは、目の前に提示された選択肢のどれを選んでも悪い方向に進んでしまう(正解が1つもない)という事態も存在する。

ご家族としては、やり場のない気持ちを病院側にぶつけるしかないというのはもちろん理解できるが、部外者が何も考えず「ヒドイ」と言うだけなのは、学習の可能性を摘み取ってしまうだけである。

まとめ

分娩は命の危険と隣り合わせの危険なイベントである。

何事もなく生まれて当たり前ではないとは言われているものの、実際に自分がそのような状況になることを考えられない人も多い。

出産は命がけである。

その命を守るのは医療者ではあるが、医療者に任せておけば良いというわけではない。

自分たち自身も安全に出産できるよう考えて行動するべきである。

何か出産に関する事件が起こるたびに医療者に責任を追及するのはどうかと思う。

まずは自分自身の落ち度や責任も振り返ることが重要だ。

感情論を語ることは一時的な解決にはなるかもしれないが、長期的に見たうえでの根本的な問題の解決にはならない。

当事者が感情的になるのは仕方ないとしても、部外者なら冷静に考えることもできるはずなんだ。

当事者の友達や関係者なら当事者に共感することに意味があるが、部外者だからこそ考えられることもあるだろう。

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